明確な低音寄りのドンシャリ。
本機はコーデックの違いでかなり音質が変化する。以下LDAC中心の評価。
基本性能は価格なり。解像度,分解能は並みだが音場感は優れる。
ANC性能もハイレベル。
過剰な低音量や不安定な接続性という不満はあるが、ポテンシャルは感じられる機種。
項目評価
低音域
極めて悪い。
量感は明らかに過剰。
特に200Hz未満のブーストが露骨であり、曲によっては低音しか聞こえない。
アタック、リリースいずれも遅くボヤケていてキレが悪いが、特にリリースの遅さが顕著でどの曲もスローモーに聴こえる。極めて嫌いな質。
中音域
まずまず。
低音域に押されて曇った質だが、繊細さや滑らかさは微かに感じられる。
しかしそれ以上にコーデックの処理由来と思われるジャミジャミしたざらつきが不満。
SBCで再生した場合は3-4kHz周辺の中高音域で更に顕著となる。
高音域
悪い。
全体的に粗雑で抜けが悪く曇っている。
かろうじて超高域で繊細さがあるか。
音場感
良い。
音像の距離は程よく音場は広め。
立体感に優れ、ライブ音源等の再現に優れている印象。
しかし音像全体の定位はボヤけていて見通しが悪い。音楽構成要素が増えれば増える程苦しくなる傾向にある。
ANC性能
最高クラス。
ノイズキャンセリング能はAZ80と比較しても明確に良く、SONY 1000XM5と比較しても遜色が無い。
一方アンビエンスは中高音域がやや強調された不自然さがある。
全体的に1000XM5と非常に似た性能と質を持つ。
装着感
良い。
AZ80と比較してさらに丸みを帯びたデザインになり耳への収まりが多少改善した。
ノズルは楕円形かつイヤーピースは独自規格であるが、他社製イヤーピースへの換装も可能。
ケースの完成度も高くどんなイヤーピースを使用しても干渉しない。
デザイン
まずまず。
AZ80と比較して質は後退したと感じる。
高級感がやや失われ野暮ったい印象になってしまい、所有感はやや欠けるかもしれない。
ケースはやや大きめであり、AZ80のそれと少し小さくはなったものの、一般的なものより大きめに感じる。
接続性
不安定。
LDAC接続では試聴の短い時間にも頻繁に音途切れが発生。
明確に改善の余地がある。
尤も家電量販店という劣悪な環境下での試聴も考慮すべきだが、それでもAZ80と比較して明確に安定性は劣ると言える。
コーデック差
AAC接続では過剰だった低音がやや大人しくなり聴きやすくなる。
LDAC,AAC,SBCの3つの接続の中では最も良好なバランスに思う。
奇妙な事にAndroidからのAAC再生とiPhoneからのそれとはバランスが異なり、iPhoneの場合は更にスッキリとした傾向でAZ80の質感に近い。
SBC接続では全体的な質感が粗くなるが、特に3-4kHzの質感が絶望的に汚く聴くに耐え難い。
可能ならばAAC接続以上で聴くべきだろう。
EQ
アプリによるEQの質は良くない。
EQを通した瞬間にAZ100の長所である音場の広さは消失し平面的となる。
よほど低音域の量感に不満がある方しか使用をオススメしない。
比較評価
以下Technics EAH-AZ80、SONY WF-1000XM5、Technics EAH-TZ700 との比較。
vs. Technics EAH-AZ80
AZ80は弱ドンシャリ、AZ100は低音が過剰な強ドンシャリ。
基本性能は互角か、僅かにAZ100の方が優れる。
解像度は互角、分解能ではAZ80、音場感はAZ100で優れるが、細かい表現は良く聴けばAZ100の方が上手い。
ただしAZ100は低音量が過剰で、一見AZ80の方が解像感の差で好ましく聴こえる。
ANCの効きはAZ80より明確に優れる。
アンビエンスは互角。
音域別のバランスではAZ80の方が明らかに上手く自然。その点でAZ80は依然として価値がある。
vs. SONY WF-1000XM5
1000XM5はドンシャリ、AZ100は低音過剰な強ドンシャリ。
基本性能はAZ100の方が良い。
解像度,分解能,音場感 いずれもAZ100が優れる。
一方ANCの効きや質はほぼ互角。
低音の量感や接続性に不満があるなら1000XM5が良い選択になるかもしれない。
vs. Technics EAH-TZ700
TZ700はドンシャリ、AZ100は強ドンシャリ。
有線と無線で単純比較は出来ないが、基本性能は比べるまでも無くTZ700が圧勝。
同じ磁性流体のドライバを使用し、音場感や中音域の質にわずかな共通点を感じるが性能は全くの別物である。
ドライバだけで音質が決定するわけではない良い例にも思う。
総評
ポテンシャルは感じられるが、その過剰な低音量と接続の不安定さが全てを台無しにしている残念な機種。
特に低音の量感はスピード感が求められるジャンルに対して致命的ですらある。
しかし何故こんなチューニングにしてしまったのか、設計者の意図を汲み取る必要はある。
同様のチューニングの不可解さはJBL Tour Pro3にも感じたことだが、私の評価とは裏腹に世間一般の評価は意外な程に高い。
これはチューニングに対する好ましさや感じ方が世間と私とは大きな隔たりがあることを意味する。
問題は購入する層がどのターゲットかという事である。
AZ80の上位機種を期待していた方にとってはこのバランスは受け入れ難く、AZ80で獲得したファンをターゲットとしているとは考えにくい。
となれば一般層が相手と予想するが、果たして40kという価格を受け入れられるかは少々疑問ではある。
まとめ
Pros:
✅広い音場
✅高いANC性能
✅良好な装着感
Cons:
☑️過剰な低音域と質の低さ
☑️不安定な接続性
☑️EQの質の低さ
☑️コーデック毎の音質のバラツキ
試聴環境
試聴日時:2025年1月
試聴場所:ヨドバシカメラ新宿西口本店 e☆イヤホン秋葉原店
試聴機材:Xiaomi POCO F6 Pro コーデック LDAC,AAC,SBC
iPhone 15 Pro コーデック AAC



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